読書

2010年12月31日 (金)

2010年出会った本、心に残った本

2010年に出会い心に残った本。

思いつくままに書きます。

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『クワガタムシが語る生物多様性』(五箇公一, 2010年, 創美社)

生物多様性について書かれた本は多くありますが、この本は別格の面白さと親しみやすさがあります。

そのユーモアあふれる文章には何度も爆笑しました。

著者の五箇公一さんのフィールドワークに基づく生物(人間も含め)への大いなる愛と、バランスのとれた視点がすばらしい。

外来種だから一概に敵視するのではなく、固有種だから人間の生活を無視しても保護すべきと訴えるのではない。

それぞれの背景、事情を踏まえつつ、人間との共生について身近なところからどうしたらいいのかが綴られています。

本棚に置いておきたい一冊。

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『もっと知りたい 酒井抱一 生涯と作品』(玉蟲敏子, 2008, 東京美術)

酒井抱一は琳派の日本画家で、2011年が生誕250年になります。

それを記念していろいろな美術館で記念展覧会が催されるようで、酒井抱一が大好きな私は今からとても楽しみ。

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『都市の中の絵 酒井抱一の絵事とその遺響(エフェクト)』(玉蟲敏子, 2004, ブリュッケ)

これも酒井抱一について書かれた一冊。

前述のものは作品の図版が中心であるのに対して、こちらは作品が生まれた背景やその時代どのように人々に受け止められたのかといった分析、解説が綴られています。

酒井抱一好きであればこれも外せないかも。

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『東京さんぽるぽ』(なかだえり, 2010, 創美社)

この本の感想記事はブログ中にも書いたので、ここでは簡単に。

なかだえりさんは東京の千住在住のイラストレーター。

鮮やかで透明感のある色使いと生き生きとした町の人々の表情の描写が印象的です。

そして魅力的な場所の数々、行ってみたくなります。 ブログ中の記事はコチラ

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『自転車ぎこぎこ』(伊藤礼, 2009, 平凡社)

表紙の絵に惹かれて手に取った本でしたが、内容が非常に面白くて何度も大ウケ、爆笑しました。

本を読んで、表紙の絵を描いたイラストレータが北村人さんという方だと知り、北村さんの個展を見に行ってご本人とお話しすることができたり。

こういう本との出会いは楽しいです。 ブログ中の記事はコチラ

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『今戸神社 恋の縁結び』(市野惠子, 2010, 創美社)

招き猫の神社、今戸神社。

猫好きとしては猫がお守りになっているということでまず注目。

縁結びの神社として有名で、結婚成就のための心得が宮司夫人である著者の軽妙な語り口で綴られています。

人としての心の在り方、誠実に生きる姿勢を知ることができ、恋愛の本でありつつ恋愛のみならず凛と生きるための心得に触れることのできる一冊。

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『考えよ!なぜ日本人はリスクを冒さないのか?』(イビチャ・オシム, 2009, 角川書店)

そうでしたか、2009年発行だったのね。

書店の棚にずらっと並んでいて目に入ったのは2010年のW杯1ケ月前だっただろうか…

迷わず買いました。あのタイミングで買わないのは忍耐だ。

すごく面白いです!オシム節も存分に楽しめます。

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『リーダーは自然体』(増田弥生、金井壽宏, 2010, 光文社)

読んでいて、とにかくやりたいことを誠実にやろうという気持ちになれる本です。

やりたいことを誠実にやる、たぶん難しいことなんだろうと思うけど、やれる人はやれるんだよなあ。

タイトルにあるとおり、自然体で無理していない感じが魅力的でした。

それに明るい!

目標を達成するために考えて考え抜いて行動する過程には多くの葛藤があると思うのですが、その中に反省はあれど、他人への批判や自己否定がないのは読んでいて清々しい。

この無理のない優しい明るさはついていきたくなります。

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『忘却の整理学』(外山滋比古, 2009, 筑摩書房)

脳も心も循環が必要なのだなあ。

そのためには忘れることって大事です。

『思考の整理学』の続篇です。 ブログ中の記事はコチラ

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『1日が見えてラクになる!時間整理術!』(池田暁子, 2010, メディアファクトリー)

著者の池田暁子さんは、さまざまな整理術のコミックエッセイを書いていて、どれもおもしろくためになるので大好きです。

池田さんの書く整理術本に共通している姿勢が、自身が苦手なこと(池田さんも整理が苦手なのだそうです)を克服するために自ら実験してノウハウを模索し、これならいけるんじゃないか?という方法を編み出していくこと。

やってみて失敗することもありますが、うまくいかなければやりかたを変えて試してみる。

整理が苦手な私には、池田さんの暗中模索に共感しながら読むことができつつ、最終的に導かれた方法が自分でもできるかもと無理なく思える、とてもありがたい一冊であります。

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『色 世界の染料・顔料・画材 民族と色の文化史』(アンヌ・ヴァリション, 2009, マール社)

絵の具好きには眺めているだけで楽しい!

絵の具の色がどんな原料からできているのか、とか、時代背景とかが知れるのも楽しいです。

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2011年もたくさんの素敵な本と出会えますように。

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2010年6月 2日 (水)

『忘却の整理学』

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『忘却の整理学』(外山滋比古, 2010, 筑摩書房)を読んだ。

読み終えて、脳も心も循環が大事だなあと思う。

毎日たくさんの新しい情報を得る。

自分にとって必要なものは自然と記憶に残る。

得たすべての情報を覚えていなくちゃと思う必要はない、むしろ適度に忘却してしまったほうが脳にスペースができる。

そのスペースから新しい創造、思考が生まれる。

だから忘却する能力はとても大事なのだ。

では上手に忘却するためにはどうすればいいのか?

睡眠が忘却の時間なのだそう。

眠っているあいだに、脳が必要な情報とそうでもない情報を寄り分けて整理してくれるらしい。

え~、そんなに便利なの??私の脳は眠ったら最後大事なことは全部忘れて、そうでもないことばかり覚えてそうだよ、笑

でもたしかに、ぐっすり眠った翌朝はすっきりしてやる気がでてくるのは、脳の整理整頓が終了しているからなのかも。

もうひとつ大事なのが食事のタイミング。

よく眠るためには食事の時間を工夫すること。

食事をして胃が満たされれば消化活動のために休養体制にはいり眠くなる。

逆に、脳を働かせたいときは空腹状態のほうがよいのだそう。

読んでいてい気持ちの良い文章(さくさくと噛み砕くような心地よさ)は、『思考の整理学』(外山滋比古, 1986, ちくま文庫)の続編というこの本でも存分に味わうことができる。

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2010年4月21日 (水)

なかだえりさんの『東京さんぽるぽ』

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なかだえりさんの『東京さんぽるぽ』(創美社,2010)を読みました。

おもしろかった!

おいしいもの、職人技、ちょっとなつかしい子供心に帰れるもの…に会いに出かけたくなる!

そんな本です。

なかだえりさんのイラストが最高に良い。

なかだえりさんのイラストは、昨年(2009年)6月に開催された個展で原画にお目にかかりました。

独特の雰囲気のある線と、鮮やかな水彩絵の具の色が素晴らしい。→そのときの記事はこちら

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この本『東京さんぽるぽ』を読んで最初に行きたいと思ったのが、とんかつ屋「新宿すずや本店」。 とんかつ大好き!!

すずや名物というとんかつ茶づけ。

イラストの湯気が食欲をそそる~!

イラストのみならず、なかだえりさんは文章でも惹きつけます。

とんかつ茶づけの描写は今すぐ食べたくなるくらいおいしそう!

そしてすずや社長親子のイラスト(似てるんだろうなあ)と言葉がまた良いのだ。

で、行ってきました、「新宿すずや本店」。

最高においしかった~!!

いや、それが食べたのはとんかつ茶づけではなかったのです…

とんかつ茶づけを食べる気満々で行ったのですが、席についた瞬間、サクッとした定番のとんかつが無性に食べたくなり、ロースかつ定食を注文しました。

とんかつ好きの宿命か…

ごはん、味噌汁、キャベツ、漬けものがおかわり自由システムも嬉しい「すずや」。

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すずやの入口の扉が印象的だったので描きました。

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ブロンズ色のちょっと重い鉄の扉で、取っ手を持って開けるときに重さでグッとなる。

デザインに趣があってすごく素敵。

次は(次こそは!)とんかつ茶漬けを食べにまた行きます。

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2010年4月16日 (金)

北村人展「朝から晩まで」「しごと展」

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北村人(きたむら・じん)さんの個展「朝から晩まで」、「しごと展」を見に行きました。

北村人さんの絵を最初に見たのは、伊藤礼さんの著書『自転車ぎこぎこ』(平凡社,2009)の表紙で。

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ある日の新聞の書評欄にこの『自転車ぎこぎこ』が載っていて、表紙の絵にひかれて読んでみたくなり本屋に行きました。

書評を読んでいたにもかかわらず、本を開くまで小説だと思い込んでいたのですが、読んでみたら古希を過ぎた著者が68歳から乗り始めた自転車にまつわるツーリング体験のエッセイでした。

このエッセイがすごくおもしろくて!

はじめは自転車で2km走って息を切らしていたのだけど、工夫して練習していくうちに、5km、10kmとだんだん走れる距離が伸びていく。

この練習方法が合理的で文章がわかりやすいというのも魅力なのですが、練習過程での著者の心理描写がおもしろい。

自転車を買う時の自転車店とのやりとり、友達と出かけたツーリングの顛末…そのときどきのエピソードと一緒に繰り広げられる頭の中の会話。

自転車と真正面から向き合う真摯なところと、ちょっと武士は食わねど高楊枝的な性格とのバランスが読んでいて感心したり、吹き出してしまったり。

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そうだ、この本を手に取るきっかけになった表紙の絵はだれが描いているんだろう?と、表紙の裏を見ると「装画・北村人」とありました。

ほかにどんな絵を描いているのかなとさがしていたら、北村人さんのサイトで今回の個展のことを知りました。

北村さんにとって2年ぶりの個展をいままさに開催中という偶然に、ひとりひそかに驚愕しつつ(好きな作家を見つけても展覧会にちょうどめぐりあうことはなかなかなくて、たいがい先月終わってたとかいうことが多い)、これはなんとしても行かなくては!と出かけたのでした。

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ギャラリーのふたつの会場を使っての展示で、ひとつは「朝から晩まで」というタイトルの画材にマーカーを使った作品の展示。

もうひとつは「しごと展」というタイトルの本の表紙の装画や雑誌の記事の挿画など、仕事で制作した作品の原画が展示されています。

私が北村さんを知るきっかけとなった装画作品は、「しごと展」のほうに一挙展示されていたわけですが、その作品点数の多さにびっくり!

『自転車ぎこぎこ』以外にも今まで本屋で出会っていたのかもしれない、たぶん。

ギャラリーには北村人さんご本人がいらっしゃって話をすることができました。

画材のことや制作にまつわる話を聞かせていただき、またこちらからは作品の感想を直にお話しすることができました。

そのときのリアルな感動って感じたままをすぐに伝えたいのでそれができて嬉しかった。

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北村人展は、ギャラリーハウスMAYAにて2010年4月12日(月)から4月17日(土)まで。

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2010年3月 4日 (木)

本とヒヤシンス

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週末は、国立博物館で開催中の『長谷川等伯展』に行く予定。楽しみ~!

新潮日本美術文庫『長谷川等伯』(新潮社)を読みながら、ますます楽しみ度上昇中である。

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長谷川等伯は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて活躍した絵師。豊臣秀吉の長男鶴松が幼くして亡くなった時に、その菩提を弔うために秀吉が建立した祥雲寺の障壁画を制作したのが長谷川等伯である。

その障壁画、『楓図壁貼付』、『松に秋草図屏風』も今回の展覧会で展示されている。

今年は等伯の没後400年にあたる年で、それを記念しての回顧展なのだそうだ。

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3週間前にひとつふたつと咲き始めたヒヤシンスは、その後つぎつぎにつぼみが開いて満開になりました。

今年も部屋に良い香りを運んでくれています。

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